准看護師の学校への進学を考えた時に、准看護師ってそもそも求人ってあるの?と不安な方も多いと思います。
結論から言うと、准看護師の求人はあります。ありますが、病院では看護師の求人が約68,000件に対して准看護師は約4,000件。その差は17倍です。
後述しますが、求人数で言えば看護師の求人のほうが圧倒的に多いし待遇面も約束されます。
ですが、准看護師の求人がまったく無いわけではありませんし、看護師になるためのステップアップとして、まず准看護師から医療職を目指すという制度は現在も機能しています。
この記事では「厚生労働省」「日本看護協会」「ナースセンター」の統計データを使って、准看護師の就業者数がどう推移しているか、求人はどれくらいあるのか、病院はなぜ准看護師を募集しているのかを徹底解説しています。
准看護師として働いている人は今どれくらいいるのか
資格を取っても働く場所がないなら意味がありません。まず「いま実際に准看護師として働いている人がどれくらいいるのか」を確認しておきましょう。
厚生労働省の統計によると、2024年時点で全国で約23万3千人が准看護師として就業しています。
看護師が約136万人いることと比べれば少ない数字ですが、23万人超というのは決して小さな規模ではありません。それだけの人が、いま現在この資格で生計を立てています。
ただ、減ってきているのも事実です。2014年には約34万人いたので、10年間で約10万7千人減った計算になります。同じ期間に看護師は約108万7千人から約136万3千人へ約27万6千人増えています。
看護師・准看護師の就業者数の推移
出典:厚生労働省「衛生行政報告例(就業医療関係者)」各年版
准看護師(2024年)
23.3万人
2014年比 ▼ 約10.7万人
看護師・准看護師の就業者数の推移(2014年〜2024年)
| 年 | 看護師 | 准看護師 |
| 2014年 | 1,086,779人 | 340,153人 |
| 2016年 | 1,149,397人 | 323,111人 |
| 2018年 | 1,218,606人 | 304,479人 |
| 2020年 | 1,280,911人 | 284,589人 |
| 2022年 | 1,311,687人 | 254,329人 |
| 2024年 | 1,363,142人 | 233,022人 |
※ 隔年調査のため2年ごとの数値です。各年末時点。
看護師が増えて、准看護師が減っている。この2つの動きは同時に起きていて、看護教育が看護師養成に一本化される流れの中で、准看護師の割合はどんどん小さくなっています。看護師・准看護師を合わせた養成定員のうち、准看護師の枠はいまや全体の10%しかありません。
でも繰り返しますが、2024年時点でまだ23万3千人です。「もう誰も准看護師として働いていない」なんて状況ではまったくありません。
求人は「ある職場」と「ほぼない職場」がはっきり分かれる
求人の話に入ります。
2024年度のナースセンター登録データで、職場ごとの求人数を看護師と准看護師で並べてみます。
- 病院:看護師 約68,000件 / 准看護師 約4,000件
- 診療所:看護師 約17,000件 / 准看護師 約1,400件
- 介護・福祉施設:看護師 約33,000件 / 准看護師 約3,400件
- 訪問看護ステーション:看護師 約21,600件 / 准看護師 約260件
職場別の求人数比較(看護師 vs 准看護師)
出典:ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析報告書(2024年度)
職場別の求人数比較(2024年度)
| 職場 | 看護師 | 准看護師 |
| 病院 | 約68,000件 | 約4,000件 |
| 介護・福祉施設 | 約33,000件 | 約3,400件 |
| 訪問看護ST | 約21,600件 | 約260件 |
| 診療所 | 約17,000件 | 約1,400件 |
どの職場でも看護師の求人の方が多いです。
ただ、この中で1つ注目してほしい数字があります。介護・福祉施設の准看護師求人、約3,400件です。看護師の約33,000件と比べれば少ないですが、病院の約4,000件に次ぐ数があります。比率で見ても、介護・福祉施設は他の職場と比べて准看護師の求人割合が高め。この分野では准看護師の需要が根強く残っているということです。
逆に、訪問看護ステーションは約260件。ほぼないに等しい数字です。訪問看護は1人で患者さんの自宅を回る仕事なので、自分で判断して動ける看護師が求められるのかもしれません。
つまり「診療所や介護施設で働きたい」という人にとっては、求人は実際にあります。自分がどこで働きたいかによって、この数字の見え方はだいぶ変わるはずです。
准看護師が実際に多く働いている場所はどこか
求人の数だけでなく、実際に准看護師がどんな職場で働いているのかも見ておきましょう。
看護師は就業者の約66%が病院で働いています。大きな病院が看護師の主戦場です。
准看護師は違います。診療所が約32.8%で最も多く、次いで病院が約32.7%、介護保険施設等が約25.4%。僅差ですが病院が最多ではなく、診療所が最も多いという点が看護師との大きな違いです。診療所と介護施設を合わせると半数以上になります。
准看護師の就業先別分布
出典:厚生労働省「衛生行政報告例(就業医療関係者)」(令和6年)
准看護師の就業先別分布(2024年末)
| 就業先 | 割合 | 人数 |
| 診療所 | 32.8% | 76,541人 |
| 病院 | 32.7% | 76,223人 |
| 介護保険施設等 | 25.4% | 59,272人 |
| 社会福祉施設 | 4.6% | 10,833人 |
| 訪問看護ST | 2.7% | 6,293人 |
| その他 | 1.7% | 3,860人 |
個人経営のクリニック、デイケア、介護老人保健施設、グループホーム。こういった地域密着の医療・介護の現場が、准看護師の主な活躍の場です。
「大きな病院でバリバリ働きたい」という人は、正直なところ准看護師より看護師を目指した方が選択肢は広がります。でも「地元の診療所で働きたい」「介護の現場に入りたい」という人にとっては、准看護師の資格で十分に働ける場所があるということです。
病院が准看護師を募集する本当の理由
「求人がある」ということと「あなたを准看護師として必要としている」ということは、同じではありません。
日本看護協会が2022年に全国4,801の病院を対象に行った調査があります。
まず、准看護師を「募集している」と回答した病院は全体の41.0%。つまり、半数以上の病院はそもそも准看護師の募集をしていません。
そして募集している病院に「なぜ准看護師を募集しているのか」を聞いた結果です(複数回答)。
- 「看護師が不足している」:84.2%
- 「看護師のキャリア支援(進学を前提)」:22.4%
- 「経営上の都合」:19.8%
- 「准看護師が必要である」:15.1%
84.2%が「看護師が足りないから」です。
「准看護師が必要だから採用している」という病院は15.1%。つまり、ほとんどの病院にとって准看護師の採用は「看護師の代わり」です。
ただし、准看護師が必要だから採用されているわけではなくても、実際に採用自体はされています。日本の看護師不足は永遠のテーマなので、准看護師も人員としてしっかり数に入っている事実が大事です。
准看護師を取るか、最初から看護師を目指すか
ここまで読んで「じゃあ最初から看護師を目指した方がいいんじゃないか」と思った方もいると思います。
求人数、待遇、将来性。どれをとっても看護師の方が有利なのは間違いありません。特に前のセクションで見たように、病院が准看護師を募集する理由の大半が「看護師不足の補填」である以上、准看護師の立場が構造的に不安定なのは事実です。
それでも准看護師の学校を選ぶ人がいるのは、「看護師の学校に通えない事情がある人」にとっての現実的な選択肢だからです。
看護師になるには3年制の専門学校か4年制の大学に通う必要があります。入学要件は高校卒業以上。学費も期間もそれなりにかかります。
准看護師の学校は2年制で、中学卒業以上で入学できます。夜間部や半日制を設けている学校もあるので、今の仕事を続けながら通える場合もある。学費も看護師の学校と比べると安い傾向にあります。
「3年間フルタイムで学校に通う余裕はないけど、医療の世界に入りたい」「まず2年で准看護師を取って、働きながら看護師を目指したい」
そういう事情がある人にとって、准看護師は回り道ではなく、現実的な第一歩です。
実際に、准看護師の学校の卒業者の一定数が看護師資格を目指して進学しています。
どっちが正解かは、年齢、家庭の状況、経済状況、住んでいる地域によって全然違います。「看護師の方が求人が多いから准看護師は意味がない」という単純な話ではありません。
この記事のまとめ
- 准看護師の就業者数は2024年時点で約23万3千人。減少傾向だが、今もこの資格で働いている人は多い
- 求人は診療所や介護・福祉施設に集中。訪問看護ステーションはほぼない
- 病院が准看護師を募集する理由の84.2%は「看護師不足」。准看護師として必要とされている割合は15.1%
- 准看護師の主な就業先は診療所32.8%・病院32.7%・介護施設25.4%。地域密着の現場が中心
- 准看護師の学校は2年制・中卒以上で入学可能
- 卒業者の一定数が看護師へのステップアップルートを選んでおり、このルートは現在も機能している
この記事で、准看護師の求人と就業の実態を数字で確認できたはずです。「求人が少ない」という漠然としたイメージではなく、どの職場にどれくらいの求人があり、病院はなぜ募集しているのかという構造が見えたと思います。
自分がどの職場で働きたいのか、看護師へのステップアップを視野に入れるのか。その2点がはっきりすれば、この記事のデータの見え方は人によって全く変わるはずです。